引用:フェリシモ出版 フェリシモ クリスマス文化研究所編著 Chiristmas Gallery SANTA CLAUS サンタクロースとその仲間たち
サンタクロースはなぜ赤い?

サンタクロースの色といえば「赤」。古今東西を問わず、いつの時代もサンタクロースを象徴する色として親しまれてきました。

サンタクロースのルーツである、聖ニコラスはミュラの司教でした。その正装である司教服は「赤」い色。キリスト教では司教は自分の命を投げうってでも人々の幸福に尽くすことが役目であるとされてきました。その覚悟を象徴する「血の色=赤」を司教服の色と定めていたのでした。また、赤は庇護や慈愛を象徴する色でもあります。

 しかし、司教の服の色であることを超えて、赤が独自に持つイメージが人々の心の中でどんどん膨らんでゆき、さまざまなものと関連させて考えられるようになりました。厳しい冬の間、待ち望んでいる「太陽」を象徴する色。北欧の贈り物をもたらすといわれている小人の帽子を象徴する色。愛や幸福、暖かい炎の色…。

 つまりサンタクロースの赤色はそのときどき、その人々に、待ち望んでいるものをイメージさせてくれる色であったがゆえに、時代を超えて今日まで受け継がれてくることができたのだと考えられます。

 人々に求められ心待ちにされるサンタクロース。古来より赤は愛を象徴する色として親しまれてきました。サンタクロースを愛し、必要としてきた昔の人々が、サンタクロースを受け継いできたように、この「赤い色」もまた、はるか遠い昔より後生へと伝えていきたかった、ひとつの変わらぬメッセージなのだといえましょう。